目の前に広がる炎に、綱吉の身体がガタガタを奮えた。 恐怖で背中から寒気が広がり、少し経つと不思議な事に其処からじわじわと熱が広がる。 背中を押されて、綱吉は一歩足を前に踏み出した。 (怖い) 頭がその言葉だけで埋め尽くされていく、身体は感覚に支配され、思考から切り離されてしまったかのようだった。 強く身体を押されて、綱吉の身体がぐらりと傾く。 目の前に広がる炎に綱吉は目を閉じる隙もなく。
その時、一陣の風が吹いた。
首に衝撃が走り、炎の熱は感じられなくなっていた。
狐だ、大きな金色の狐が綱吉を銜えて、村人に立ちはだかる様に其処にいた。 「て、天神様・・・?」 綱吉はその覚えある雰囲気に思わず呟いていた。 狐は何も答えない。
銃声の中を走り抜ける。
「天神様…オレ…死にたくない…です」 手を強く握り締める。 「お前が望むなら俺の血を分けてやる事は出来る、人には猛毒だが…オレの神気を分かつお前ならば…しかし、それは、この世から切り離され、人ではない時を生きると言う事だ…」
「永久の契りを…」
人に付けられた傷も、人ではない者ならば癒す事が出来るだろう…。
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