書籍「新装版 思考は現実化する」第9章、第16章より引用
次の言葉には、人間の心の平安を解くカギが入っている。
「失敗や逆境の中には、すべてそれ相応かそれ以上の大きな利益の種子が含まれている」
だが、この事実を最後まで信じきれる人もまた少ないのである。逆境の中にあってはなおさらである。
失敗は形を変えた恩恵であることが多い。予定どおりに運んだら厄介事や身の破滅にさえなりかねなかった目標から、引き返させることがあるからだ。失敗によって新しい機会への扉が開かれ、試行錯誤をしながら、現実に役立つ知識が得られるのである。失敗は、その方法がふさわしくないことを明らかにしてくれたり、高慢な人間の思い上がりを諭すこともある。
どんな状況であれ、失敗したら、その状況を分析してみることだ。
そうすれば、どんな失敗にもそれに見合った利益の種子が含まれているという、真理に行き当たるはずである。これは失敗が必ず熟した果実となって利益を与えてくれるという意味ではない。失敗には種子が含まれている、ということにすぎない。それを見つけ出し、芽を出させ、豊かに実を結ばせるには、人それぞれが目的を明確に持って積極的に想像力を働かさなければならない。
明王のエジスンは、子供の頃の事故で聴力をほとんど失っている。私は彼を訪ねたときに、「聴力障害は大きなハンディになりませんか」と聞いてみた。エジスンは、「いやいや、それどころか、耳の聞こえないことで大助かりしていますよ。くだらないおしゃべりを聞かなくてもすみますからね。それで“内なる声を聞く”ことができるようになりました」
彼は身体の不自由を長所に変えることによって、自分の心の中から「無限の英知」を感じ、多くのものを得ることができたのである。